2019年度のFIT価格は4円引き下げ、500kW未満の太陽光発電

陰山遼将,スマートジャパン

2019年02月01日

政府が2019年度における事業用太陽光発電(10~500kW未満)のFIT価格の方針を固めた。2018年度より4円低い14円/kWhとなる見込みだ。大幅な引き下げの根拠となるコスト分析の結果も公表している。

「再生可能エネルギーの固定買取価格制度(FIT)」の買い取り価格を決める調達価格算定委員会が2019年1月9日に開催された。その中で、2019年度における10kW(キロワット)以上、500kW未満の事業用太陽光発電の買い取り価格(調達価格)を、2018年度の18円/kWh(キロワット時)から4円引き下げ、14円/kWhとする方針が示された。

2018年度の事業用太陽光発電の買い取り価格(左は昨年度) 出典:経済産業省

 

システム費用の想定値を引き下げ

買い取り価格を引き下げる根拠となったポイントは大きく3つある。1つが発電所の建設に必要なシステムの費用が着実に下がっていることだ。システム費用は太陽光パネルやパワコン、架台など、発電所に必要な機器とその工事費用が含まれている。

委員会で示されたデータでは、2018年に設置された10kW以上の案件のシステム費用平均値は、昨年より1.4万円低い28.6万円/kW(中央値は27.4万円/kW)に下がった。規模別でみると、10~50kW未満で28.7万円/kW、50~500kW未満で25.5万円/kW、500~1000kW未満で24.8万円/kW、1000kW以上で27.1万円/kWとなっている。

買い取り価格の根拠となるシステム費用の試算には「トップランナー分析」が用いられる。これまではトップランナーの対象を「1000kW以上の上位25%」としていた。1000kW以上の案件が全体のシステム費用の低減をけん引する傾向にあったからだ。これに基づき、2018年に設置された案件のシステム費用の平均を計算すると、20.55万円/kWとなり、2017年より1.52万円下がっている。

ただ、2018年における50~500kW未満と、500~1000kW未満のシステム費用の平均値を見ると、2年連続で1000kW以上の平均値を下回る結果となるなど、最近では50kW以上全体で足並みをそろえて価格低減が進んでいる傾向が見えてきた。そのため、2019年度以降の買い取り価格の決定については、トップランナー分析の対象を50kW以上とすることが決まった。50kW以上を対象とした場合の2018年設置案件のシステム費用中央値(上位50%)は24.47万円/kWだ。

すると、残るはトップランナー分析の対象を「上位何%」とするかが焦点となる。委員会では新規認定案件については3年という運転開始期限が設定されることから、2015年と2018年の設置案件のシステム費用を比較し、コストの低減度合いを調査した。その結果、3年前の上位15%水準は、最新年(2018年)の上位45%水準程度に相当し、最新年の中央値よりも安価な水準となった。一方、3年前の上位20%水準は最新年の上位51~52%水準程度に相当し、最新年の中央値よりも高価な水準であることが分かった。

事業用太陽光発電のシステム費用のトップランナー分析 出典:経済産業省

こうしたデータを考慮して2019年度のシステム費用の水準は、2018年度の設置案件のうち、15%と20%の間である上位17.5%を対象とし、18.2万円/kWに設定。これは買い取り価格が18円/kWhである2018年度の水準より2.9円低い。

IRRは4%、設備利用率も向上

2つ目の買い取り価格低減のポイントとなったのが、IRR(利潤)だ。買い取り価格の設定におけるIRRの水準は、FIT制度開始から3年間は「利潤配慮期間」として6%で試算を行っていた。ただ、3年が過ぎた2015年7月1日以降は5%となっている。

今回、2019年度の事業用太陽光発電の買い取り価格を決めるに当たり、IRRをさらに低い4%に設定した。これは、FIT制度開始当初の資金調達コストが4.19%であったのに対し、2018年上半期のコストは太陽光発電の導入拡大により事業リスクが低下しているといった影響で、1.96~3.11%程度まで下がっていることなどを考慮した。

3つ目は設備利用率の向上だ。事業用太陽光発電の直近11カ月(2017年6月~2018年4月)の設備利用率は、10kW以上全体では14.4%となり、前年から0.3ポイント向上した。この他、太陽光パネルの過積載が進んでいることやトップランナー分析などの結果から、2019年度の買い取り価格を決める際の設定値を前年度より0.1ポイント高い17.2%とした。なお、トップランナー分析については、システム費用と同様、「50kW以上の上位17.5%」を対象とした。

事業用太陽光発電の設備利用率 出典:経済産業省

この他、土地造成費用や接続費、運転維持費などは2018年度の想定値を据え置きとした。なお、2019年度から500kW以上の太陽光発電の買い取り価格については、入札制度に移行する。将来的には250kWまで入札対象を拡大する方針だ。
 

住宅用の2020年度価格は持ち越し、区分は撤廃

住宅用太陽光発電については複数年単位で買い取り価格を決めてきたため、既に2019年度の価格が決まっている。2019年度は出力制御対応機器の設置義務あり・なしのそれぞれで24円/kWhと26円/kWhだ。ただ2018年度の委員会では、2020年度の価格は決めないこととなった。

これは、住宅用太陽光発電は事業用と比較して、着実にコスト低減が進んでいること、ZEH(ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス)などの省エネ政策との協調が必要になることなどを考慮したもの。コストについては、「2019年に売電価格が家庭用電気料金並み」という価格目標に相当する水準(システム費用30万円/kW)が新築案件の上位25%のトップランナーで達成されており、平均値での達成も目前となっている。

ただ、2020年度の価格については、現状の出力制御対応機器の設置義務による2つの区分を撤廃することが決まった。これは既に出力制御非対応のパワコンが市場から消えつつあり、対応型パワコンが主流になっていることを受けたものだ。

今後、住宅用太陽光発電の価格については、次のステップとして「2025年に売電価格が卸電力市場価格並み」という価格目標の達成に向けて買い取り価格が議論されていく。