「1.5℃目標」の報告書、エネシステム早期転換を/気候変動パネル

2018年10月18日

「国連気候変動に関する政府間パネル(IPCC)」は8日、世界の平均気温が2030年にも産業革命以前より1.5℃上昇すると予測した特別報告書を公表した。1.5℃上昇の時期やその場合の気候変動影響や必要な対策について、国連機関が初めて見解を示したことで、今後の温暖化の国際交渉に影響を与えそうだ。

報告書では、世界の平均気温は人為的要因ですでに1℃上昇しており、早ければ30年、遅くとも52年にも1.5℃上昇する可能性が高いと指摘。この上昇を回避するために、再生可能エネルギーの大幅導入などエネルギーシステム転換が必要との見解を示した。

特別報告書の注目点の一つは、温暖化対策の国際枠組み「パリ協定」が気温上昇の目標について「2℃より十分低く、1.5℃にする努力を追求」と幅を持たせている中で、より厳しい1.5℃を目指すべきと示唆したことだ。1.5℃上昇に比べ2℃上昇の場合、人の居住地域の異常な温度上昇や豪雨、干ばつなどのリスクや、漁業資源や農業への悪影響が有意に高まるとのデータを多く示した。

もう一つの注目点は、パリ協定に基づき各国が国際公約した温室効果ガス削減の30年目標が達成され、かつその後対策を強化しても「気温上昇を1.5℃に抑制することはない」と指摘したことだ。「30年よりも十分前に世界全体のCO2排出量減少が必須」と、各国の削減対策の前倒しなどの必要性を強く示唆した。

1.5℃目標達成に向けて50年頃のエネルギーシステムのシミュレーションも行った。電源構成では再エネが70~85%を占め、ガスはCO2回収・貯留と組み合わせて8%、石炭にいたってはほぼゼロにする必要があるとした。

今回の報告書は、国連気候変動枠組み条約第21回締約国会合(COP21)で出された要請にIPCCが応えたもので、今年12月にポーランドで開かれるCOP24に提出される。世界全体で長期的にどう取り組んでいくか、産業界、NGOなども含め幅広く議論する「タラノワ対話」の材料になる。
(ガスエネルギー新聞 10月15日付)