小型SOFCなど展示、産学官連携で新事業の創出へ

イノベーション・ジャパン

2018年09月17日

 産学官連携による新たなビジネスの創出を図る展示会「イノベーション・ジャパン
2018~大学見本市&ビジネスマッチング~」(新エネルギー・産業技術総合開発
機構=NEDO、科学技術振興機構=JST主催)が8月30日、31日の両日、東
京・江東区の東京ビッグサイトで開催された。NEDOの新技術開発支援事業で採択
を受けた企業や大学が研究成果を披露したほか、新ビジネスにつながる可能性を持つ
研究を紹介した。

自動車部品の製造を手掛けるアツミテック(静岡県浜松市)は、SOFC(固体酸
化物形燃料電池)型カセットガス発電機の試作機を展示した。カセットガスで発電す
るSOFCの開発は世界初としている。

岩谷産業と協力して開発を進めており、出力は500W、カセットガス1本で12
0分稼働する。大きさは300×300×400㎜、重さは15kg。騒音・振動や
COをほとんど発生せずに発電できるのが特徴だ。

2020年ごろの市販化を目指している。今後、コスト低減と耐久性の向上を図
る。アウトドア、災害時の非常用電源、公共設備(通信基地、信号機)の非常用電源
としての活用を想定。さらに自動車、バイク、ドローンなどの駆動用電源としての活
用も提案する方針だ。

現在は海外製セルを使用しているが、将来は、表面処理技術の一つである溶射技術
を用いてセルを低コストで製造することを視野に入れる。また、都市ガス仕様タイプ
の開発も検討している。

東京農工大学は、電気通信大学、東京ガスと協力して研究を進めている「LNG冷
熱利用熱音響エンジン発電技術」を紹介した。これはLNGの冷熱を、低コストで電
気に変換する技術だ。

エクセルギー(LNGと海水の温度差から得られる仕事を生み出す能力)を利用し
て熱音響エンジンを動かし、音波を発生させる。音波で双方向タービンを稼働させ、
振動エネルギーを回転エネルギーに変えてモーターを動かし、発電する。

昨年、試作機を開発した。将来は発電出力数百kW規模の開発を目指す。東京農工
大はLNG冷熱だけでなく、工場排熱、太陽熱を活用して発電することも可能として
おり、今後さらに研究を進める方針だ。

産業技術総合研究所(産総研)は、世界初の実用サイズのプロトン(水素イオン)
導電性セラミック燃料電池のセルの作製に成功したことを紹介した。電解質でプロト
ンを移動させることで、燃料極側での水の発生を防ぎ、燃料利用率を高め、発電効率
を上げられる。

プロトン導電性セラミックスは、焼き固める焼結がしにくい「難焼結材料」。これ
までは50mm角以上の大型化は困難とされていた。

産総研は、パナソニック、ノリタケカンパニーリミテド、東北大学、宮崎大学、横
浜国立大学、ファインセラミックスセンターと協力し、セラミックスの焼結挙動を分
析。均質な電解質膜を作る新たな焼結技術を開発し、実用的な80㎜角のセルの作製
に成功した。20年代に発電効率65%を可能とする超高効率燃料電池の実現を目指
す。

(ガスエネルギー新聞 9月17日付)