新電力の機会確保、卒FIT太陽光の買取

2018年09月17日

固定価格買取制度(FIT)の買取期間が終了する住宅用太陽光発電設備が2019年11月から出始める。電力の新たな事業モデルの構築を見据えて同設備に関心を寄せる新電力は少なくないが、現在の買い手である大手電力が顧客として囲い込み続ける懸念も指摘されている。そのため、資源エネルギー庁は、新電力も買い手となる機会を十分に持てるように、大手電力の営業活動等に一定の規制をかけることを決めた。

12日の再生可能エネルギー大量導入・次世代電力ネットワーク小委員会(委員長=山地憲治・地球環境産業技術研究機構理事)に提案し、大筋で了承された。 

FIT買取期間が終了した住宅用太陽光発電設備は、仮想発電所(VPP)や個人間取引(P2P)など、分散型電源の普及拡大に伴う新たな電気事業モデルの主要な構成要素として見込まれている。さまざまな事業モデルが考案されるためには、多くの小売事業者が買取主体として存在することが望ましい。再エネの主力電源化を実現する観点からも、住宅用太陽光が買取期間終了後も安定的に発電し続けることが求められている。

だが、買取期間終了後の電気の買い手としては、現在の買い取り主体である大手電力の小売部門が、現状では圧倒的に有利な立場にある。大手電力が顧客情報を社内に持っているのに対して、新電力はそもそも買取期間が終了する太陽光発電設備の所在を把握することも容易ではない。

前回の小委では、複数の委員が公正競争の観点からこうした状況を問題視した。そのため、エネ庁は今回、FIT買取期間が終了する家庭が新電力も新たな売電先となることを十分認識できるための方策を示した。

大手電力の小売部門には、買取期間終了の4カ月前までに対象となる家庭に対して買取期間の終了時期などを通知させるが、その際、自社による買取継続だけを今後の選択肢として示すことは許さない。他の小売事業者にも売電できるほか、蓄電池を併用した自家消費も可能であることを記載させる。

エネ庁も自ら、対象となる家庭への情報発信に努める。関連情報を幅広く提供する専用のウェブサイトを今秋設置する。買い取りに名乗りを上げた事業者は希望すれば、同サイトに自社情報を掲載できるようにする。 

こうして新電力が競争のスタートラインに立てるよう配慮した上で、公正な競争環境を整える。まず新電力が営業戦略を立てやすくするため、大手電力には買い取りメニューの発表時期を年内に公表させる。現在の有利な立場を生かして、大手電力が早々に対象家庭を囲い込めないよう、3月までにメニューを発表した場合でも、今年度内に新たな購入契約を締結することは認めない。

また、新契約の中に違約金など契約の解除を制限する条項を設けることは禁じる。これにより大手電力と一旦は契約し直した家庭でも、新電力のより魅力的な買い取りメニューが出てきた場合は、追加負担なく切り替えられるようにする。

エネ庁はこうした措置により、新電力が対象家庭へ訴求する機会を十分に確保できると見込む。委員からも「結構踏み込んだ対応だ」(新川麻・西村あさひ法律事務所パートナー)などと歓迎する声が相次いだ。ただ、新電力からは「対象家庭に通知する主体は大手電力小売部門でなく送配電部門など競争の中立者の方が望ましい」(エネット)といった指摘も出た。

(ガスエネルギー新聞 9月17日付)