世界ガス会議/米中が存在感示す

2018年07月05日

上流投資の必要性共有

第27回世界ガス会議(主催・国際ガス連盟=IGU)が6月25~29日、米国の首都ワシントンで開催された。テーマは「Fueling the Future(将来を動かす燃料)」。天然ガスの需要をけん引する中国などアジアの動向に関心が集まり、主催国の米国からは、天然ガスは基幹エネルギーであり続けるとの自信も聞かれた。一方、旺盛な需要を支える上流投資の必要性や、地球温暖化抑制のために天然ガスが果たすべき役割も議論された。

世界最大の天然ガス消費国・生産国での開催とあって、会場には90を超える国と地域から約3000人の関係者が集った。基調講演やパネルディスカッションなど100を超すセッションが設けられ、天然ガス業界の最新状況や将来性について活発に意見交換した。 

基調講演には国際機関代表や主要国エネルギー担当閣僚、エネルギー企業の経営トップらが登壇した。討論会やIGU専門委員会セッションには、日本から資源エネルギー庁のほか、日本ガス協会(JGA)、東京ガス、大阪ガス、日本エネルギー経済研究所等から10人以上が参加した。

LNG輸出が本格化し始めている米国からは、同国が売り手として国際市場において存在感を高めることへの自信に満ちた声が上がった。パネルディスカッションに参加した日本エネルギー経済研究所のガスグループ研究主幹・橋本裕氏は「米国の講演者は、ガスが米国・同盟国のエネルギー安全保障を強化するのみならず、経済の安全保障をもたらしていることを強調した」と指摘する。パネルディスカッションの司会を務めた元国際エネルギー機関(IEA)事務局長の田中伸男笹川平和財団会長は、供給安全保障におけるパートナーシップの重要性を強調して米国と歩調を合わせた。

3年に1度のガス業界最大の国際会議

米産LNGが一つの引き金になり、仕向地制限のないLNG売買契約が登場するなど取引の柔軟性が高まっている。この点については、市場の流動性は高まりつつあり、LNGはグローバル化が進展するとの見方が共有された。世界最大のLNG買い主であるJERAのヘンドリック・ゴーデンカー会長は基調講演で「LNGは長期的な柔軟性を備えた信頼すべき供給源である」と強調した。

「アジアが主役」

開催国の米国と共に存在感を示したのは、旺盛な需要が続く見通しのアジアだった。橋本氏は「開催地に近いコーブポイントLNGプロジェクトから日本向けの輸出が開始された直後ということが象徴するように、世界のガスビジネスをけん引するLNG、世界のガス需要をけん引するアジアが会議の主役だった」と総括した。

日本ガス協会の吉田聡国際グループマネジャーも「天然ガスの消費と産出の両方で存在感を放つホスト国の米国、19年には世界最大の天然ガス輸入国(21年にはLNGの最大輸入国)となるであろう中国の2大国の存在感の大きさを感じた」と振り返る。

ただ、アジアにおける「ガスの黄金時代」の到来は約束されているわけではない。昨年、一昨年とLNG新規プロジェクトの最終投資決定(FID)は1件ずつに止まり、このまま投資が停滞すると2023年頃から、供給が需要に追い付かなくなる恐れが指摘されている。

そのため、会議では市場拡大を現実のものとするための生産側の投資動向やインフラ整備の必要性にも関心が集まった。開発コストが抑えられる浮体式設備など新技術がクローズアップされたほか、買い手に対しても上流投資を促す積極的な行動に期待感が示された。「企業トップからは自由貿易原則の堅持や、行き過ぎた原油価格上昇がガスビジネスにも良くない結果をもたらすとの指摘が出た」(橋本氏)。

地球温暖化抑制など環境政策と天然ガス導入拡大との整合性も主要な論点の一つだった。天然ガスと再生可能エネルギーとの補完関係や省エネの推進など、天然ガス業界が社会に対して果たすべき責任が議論された。吉田氏は「脱炭素に向けた取り組みをアピールする欧州勢、基幹エネルギーたる地位は今後も揺るがないとする北米勢の考え方が議論、セッションで際立った違いを見せた」と振り返る。国際海事機関(IMO)が海洋環境対策の規制強化を打ち出したことを受け、船舶用燃料としてのLNGの将来性も注目された。次回の世界ガス会議は韓国大邱、その次は中国北京での開催が予定されている。

(ガスエネルギー新聞7月2日付)