ごみやふん尿で熱電供給、国内初の縦型乾式メタン発酵施設が完成

長町基,スマートジャパン

2018年07月06日

国内初という縦型乾式メタン発酵施設を備えたバイオマスプラントが香川県に完成。生活ごみや食料残渣(ざんさ)、家畜ふん尿などをバイオガス化し、これを燃料に電力と熱を供給する。

産業廃棄物処理業の富士クリーン(香川県綾川町)は、新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)のプロジェクトにおいて、国内初という縦型乾式メタン発酵施設を備えたバイオマスプラントを自社敷地内に建設した。

完成したバイオマスプラント 出典:NEDO

同施設では、生活ごみや食料残渣(ざんさ)、家畜ふん尿などの多様な廃棄物を原料に用い、3000立方メートル規模のメタン発酵槽でバイオガスを生成し、これを燃料に同社施設に熱電併給を行う。今後、試運転を行い、2018年10月より実証運転を開始する予定だ。

NEDOでは、地域の特性を生かしたバイオマスエネルギーの健全な導入を促進するためのプロジェクト(バイオマスエネルギーの地域自立システム化実証事業)を実施している。このプロジェクトで富士クリーンは、2015年4月から約1年間、混合系バイオマスによる乾式メタン発酵技術を適用したバイオマスエネルギー地域自立システムの事業性評価を実施してきた。

乾式メタン発酵技術とは、含水率が低い状態でバイオマスをメタン発酵させる技術。今回建設したプラントは縦型かつ、かくはん装置不要の発酵槽のため省スペース化および省エネルギー化を実現できるとともに、高温発酵により分解速度が速く、混合型系バイオマスに対応でき、また排水処理を必要としないことが大きな特徴となるという。

今回完成させたプラントは、縦型乾式メタン発酵施設に加え、国内初導入となる廃棄物からバイオマスを高効率で分別・回収する装置(高効率選別装置)をはじめとする前処理設備や、バイオガス化設備、ガスエンジンなどのエネルギー変換設備を組み合わせたバイオマスプラントとなる。近隣地域の生活ごみなどの一般廃棄物に加え、食品残渣や家畜ふん尿・下水汚泥・紙ごみおよび難処理古紙類など、多様な産業廃棄物を73トン/日の規模で受け入れ可能だ。

バイオガス生成量は約9500N立方メートル/日で、生成したバイオガスは、370kW(キロワット)のガス発電機2基と蒸気ボイラー(0.5トン/時、2台)により、電気と蒸気に変換し、自社内で実証施設、廃棄物処理施設内の回転機器などの駆動用電気や加熱用蒸気として有効活用する。

ガス生成過程で排出される発酵残渣は、既設焼却施設の補助燃料として利用する。これまで埋め立て処分していた熱量の高い廃棄物とこの残渣と混合し焼却することで、埋め立て処分量が減少し、埋め立て処分場の延命化につながるとともに、焼却炉燃料の削減が可能になった。

システム全体のフロー 出典:NEDO

今回の取り組みを通じて、廃棄物の資源化によるリサイクル率の向上や、温室効果ガス排出量の削減(年間約1万トンのCO2削減効果)など、環境負荷の低減を実現する地域に根差したバイオマスエネルギーシステムの構築を目指す。

周辺地域に対しても、雇用の創出、産業の活性化、環境教育の推進など、地域の社会インフラサービスの充実に取り組む。具体例として、「ごみをエネルギーに変える」をテーマに、子どもから大人まで、地域住民への幅広い環境教育の場として同施設を開放する予定だ。