「天然ガスシフト」堅持
脱炭素化の方針を明記/エネ計画改定案

2018年05月24日

第5次エネルギー基本計画原案が16日、経済産業省の審議会で了承された。7月初旬にも閣議決定される。原案では、2050年のエネルギー政策の方向性を初めて盛り込み、長期的にエネルギーを脱炭素化していく方針を明記した。再生可能エネルギーは「主力電源化」すると位置付けた。原発は脱炭素化に向けた選択肢としながら依存度を低減していく。天然ガスについては「天然ガスシフト」という現行方針を堅持し、現行計画よりも記述を充実させた。

第5次計画原案は、30年度を見通した現行エネルギー基本計画(14年4月閣議決定)が示した基本方針を踏襲しつつ、政策対応については、ガス・電力システム改革の進展や、各分野の政策動向、内外のエネルギーを巡る情勢を踏まえ、現行エネルギーミックス(30年度の電源構成等、15年7月経産省決定)達成に向け、施策強化する方向で現行計画を大幅修正した。

天然ガスの位置付けについては、「その役割を拡大していく重要なエネルギー源」との表現を踏襲。さらに、政策の方向性も「コージェネレーションなど地域における電源の分散化など利用形態の多様化により産業分野などの天然ガスシフトを着実に促進」などと、現行計画通りだった。

一方、政策対応については、「ガスシステム改革の推進」関連の記述を充実させた。17年4月のガス小売り全面自由化以降の、新規参入者等への切り替えの進展や、新規参入を支援するサービスを提供する事業者が出ていることなどを捉え、ガスシステム改革が「着実に進展している」と強調。

またシステム改革による利用形態の多角化促進に加え、「クリーンな天然ガス利用促進が、脱炭素化を実現するまでの主力エネルギー源として重要な方向性であり、総合的・戦略的対応が今まで以上に求められる」と指摘した。船舶分野のLNGの主燃料化などの新たな需要や既存需要の増加を踏まえ、パイプラインなどのインフラ整備や、LNG基地の第三者利用の推進などガス取引の活性化に向けた施策、原料調達の低廉化に向けた取り組みをさらに検討していくことを明記した。

「エネルギー産業政策の展開」に関する部分では、コージェネ等を核とする分散型エネルギーシステムや、地産地消型エネルギーシステムの重要性に関する記述を加えた。分散型エネルギーシステムは、電力の需給バランス調整に活用できる「仮想発電所」(VPP)を構成する土台になり得るという期待も込め、複数のエネルギー供給者・需要家を集約して行う「エネルギー・リソース・アグリゲーション・ビジネス」を推進する。

エネルギー産業の国際競争力強化・国際展開を推進することも明記。アジアの国々による「上流を含めたLNGサプライチェーン整備へのファイナンス・技術協力」などを通じて、「わが国のエネルギー産業が海外での活動を拡大する機会」を拡大するとした。

長期シナリオも

第5次計画原案では、50年のエネルギーシナリオを初めて取り込んだ。経産省の「エネルギー情勢懇談会」が4月にまとめた提言がベース。「50年に温室効果ガス80%削減」という温暖化対策目標に向け、決め打ちせずに「複線シナリオ」を採用することや、電源ごとに加え「再エネ+調整電源」などのシステム単位でコストを考えることを柱とし、それを新たな科学的手法で検証していく。

有力な脱炭素化システムの一つが、国内の再エネ電気とCO2フリー水素由来の調整電源の組み合わせ。CO2フリー水素は、海外の再エネでの水の電気分解や、低品質炭(褐炭)からのCO2回収・貯留(CCS)によってつくる。CO2フリー水素を原料に、メタンを合成する「水素・合成ガス化システム」(メタネーション)を技術開発の重点項目とし、「メタネーションなど既存のインフラを有効活用した脱炭素化のための技術開発を推進」と明記した。

(ガスエネルギー新聞5月21日付)