電力・ガス自由化、認知広がるも“理解”は進まず――電通調査

陰山遼将,スマートジャパン

2018年05月18日

消費者への認知は進むも、内容の理解については伸び悩みが続く――。電通が実施した調査から、電力・ガス自由化に対する消費者の理解状況に関する課題が見えてきた。

電力の小売り全面自由化から2年、ガス自由化から1年となった2018年4月。2つのエネルギー自由化に対する消費者への認知は進むも、内容の理解については伸び悩みが続く――。電通が2018年3月に公表した「第6回エネルギー自由化に関する生活者意識調査」から、こうした状況が見えてきた。

認知進むも「理解」に課題

電力自由化に対する認知調査の結果は、「内容まで知っている」は25.1%(前回24.6%)、「内容は分からないが、自由化されたことは確かに知っている」は51.7%(同52.3%)となった。「見聞きしたことがある」15.4%(同14.7%)を合わせると、全体の92.3%(同91.6%)が電力自由化を認知していることになる。

電力自由化の認知に関するアンケート結果 出典:電通

ガス自由化についても同様の調査を行った結果、「内容まで知っている」は15.2%(前回16.1%)、「内容は分からないが、自由化されたことは確かに知っている」は39.7%(同41.7%)となり、「見聞きしたことがある」22.5%(同22.3%)を合わせた全体の認知度は77.4%(同80.1%)。電力自由化と比較すると、ガス自由化についてはまだ認知拡大の余地がありそうだ。

ガスの自由化の認知に関するアンケート結果 出典:電通

認知は広がっているが、理解度についてはまだ課題がありそうだ。自由化を認知していると答えた回答者(認知計)のうち、「内容まで知っている」と回答した人の割合は電力で約27%、ガスで約20%となっている。

加えて、今回の調査では前回の第5回調査に引き続き、電力・ガス自由化に関する基本知識に対する認知調査も行っている。「電力会社を変えても、新たに電線を引く必要はない」「(ガス販売に)ガス事業者以外では電力会社が参入している」といった基本的な13項目の内容について、知っていたか、そうでないかを聞いたものだ。

その結果は、前回調査と比較するといずれの項目もわずかに「知っている」と答えた割合が向上しているものの、認知が6割を超えた項目は「住んでいる地域で提供・販売している電力・ガス会社であれば自由に選べる」のみだった。

例えば先述した「電力会社を変えても、新たに電線を引く必要はない」という項目についての認知度は32.9%(前回32.0%)となっている。この他、「発電方式にこだわって電力会社を選択することも可能であること」は20.1%(前回19.8%)、「ガス会社を切り替える際に、特別な場合を除いて工事に費用はかからないこと」は19.2%(同19.0%)となっており、前回調査の結果と比較しても、理解があまり進んでいないことがうかがえる。

電力・ガス自由化の基本的な知識に関する認知調査の結果 出典:電通

電力・ガスの契約先変更を検討するユーザーは半数以下

電力購入先の変更意志に関する質問では、変更意志があると答えた回答者が「すぐにでも変更したい」の1.1%と「変更する方向で検討したい」の6.9%を合わせた8.1%となり、前回から0.2ポイント増加。「検討するが、変更するかどうかはわからない」の39.6%を合わせると47.7%と前回から1.2ポイント増加となるが、依然として半数を下回っている。

ガスについては「すぐにでも変更したい」の0.7%と「変更する方向で検討したい」の6.9%を合わせた7.6%で、前回から0.3ポイント増加。「検討するが、変更するかどうかはわからない」37.2%を合わせると44.8%で、こちらは前回から2.1ポイント下落となった。

購入先を変更しておらず、かつ変更の意向がない人に対してその理由を尋ねたところ、上位の回答は「変更の手続きが面倒・大変そう」(電力27.6%、ガス23.0%)の他、「今まで通り慣れている会社の方がよい」(電力27.1%、ガス25.0%)、「現在と比べて安くならない」(電力24.9%、ガス22.1%)、「メリットがよくわからない」(電力24.8%、ガス22.1%)、「変更することに不安」(電力23.1%、ガス21.2%)、「変更することで損をしたくない」(電力22.9%、ガス21.5%)などが挙がった

選ぶ基準は「経済性」だけにあらず

電力やガスの購入先を選ぶ基準については、「料金の安さ」が68.2%、「他社よりもオトク」が34.1%、「ポイントが充実」が15.2%となり、経済性に関する項目が挙がる一方、「事故・トラブル時の対応」が40.9%、「日常のメンテナンス」が36.7%、「手続きが簡単」が29.6%、「サービス対応」が24.7%となるなど、顧客対応やアフターサービスに関する項目も重要視していることがわかる。また、「契約内容がわかりやすい」が38.2%で、「供給が安定」が41.8%、「知名度があり信頼できる」が33.5%となっており、契約の簡潔さや、信頼性・安心感を求める声も多い。

「電気・ガスの購入に対して重視すること」についてのアンケート結果 出典:電通

なお、今回の調査は世帯主もしくは世帯主の配偶者で、自分または配偶者が電気料金を支払っている人を対象に実施。沖縄地域を除く9電力管内で、20~69歳の男女5600人がインターネット経由で回答した。