ガス火力への水素混焼に成功、CO2排出を10%削減

長町基,スマートジャパン

2018年03月02日

三菱日立パワーシステムズは、発電用大型ガスタービンに体積比率30%の水素を混焼する試験に成功したと発表した。従来の天然ガス火力発電と比べて、発電時のCO2排出量を10%低減することが可能だ。

三菱日立パワーシステムズ(MHPS)は、天然ガスを主燃料とした発電用大型ガスタービンの開発で体積比率30%の水素混焼試験に成功したと発表した。水素燃焼用として新たに開発した燃焼器(バーナー)などにより、天然ガスに水素を混ぜた場合でも安定的に燃焼できることを確認したもので、水素30%混焼により従来の天然ガス火力発電と比べて発電時のCO2排出量を10%低減することが可能となる。

今回の水素混焼試験は、新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)の助成事業「水素社会構築技術開発事業」の一環として実施。同社が開発する天然ガス焚きJ形ガスタービンの予混合燃焼器によって、70万キロワット(kW)の出力に相当するタービン入口温度1600℃の条件で試験を行い、水素混合割合30%でNOx(窒素酸化物)排出量、燃焼振動等について運用可能な条件を満たし安定燃焼ができることを確認した。

水素混焼試験を実施した同社高砂工場にある実圧燃焼試験設備 出典:三菱日立パワーシステムズ

大型ガスタービンでの安定した水素混焼技術は、同社の天然ガス焚き燃焼器技術を基に同事業の中で改良を加え開発したDLN(Dry Low NOx:乾式低NOx)燃焼器を活用し、燃焼方式はDLN燃焼器で豊富な実績のある予混合燃焼方式を採用している。燃焼器の燃料ノズルにより、空気旋回流を作ることで、より均一な予混合気を形成することが可能となり、低NOx化を実現した。燃焼器以外については、従来の設備をそのまま活用することができ、天然ガス発電所から水素利用発電所へ転換する際の改造コストを抑制する。

今回、大規模火力発電所向け大型ガスタービンの水素燃料化に向けた試験に成功したことで、発電時の地球環境負荷の抑制に大きく貢献することが期待され、2017年12月の「第2回再生可能エネルギー・水素等関係閣僚会議」において決定された「水素基本戦略」で掲げるCO2を排出しない水素社会の実現への一歩となる。

MHPSは、今後も水素ガスタービンの開発を推進することで、火力発電事業者の水素利活用に向けた需要を喚起することに取り組むという。
 

MHPSと三菱重工グループ保有技術と水素ネットワークの関係(クリックで拡大) 出典:三菱日立パワーシステムズ