どうなる国内バイオマス発電、政府はFIT買取価格の引き下げも視野に

陰山遼将,スマートジャパン

2017年11月24日

9月末に開催された政府の「調達価格等算定委員会」で、バイオマス発電事業における今後のFIT買取価格について議論がスタート。向こう3年間の買取価格について、再引き下げの可能性も出てきそうだ。

 「再生可能エネルギーの固定買取価格制度(FIT)」における買取価格の検討を行う、政府の「調達価格等算定委員会」(以下、算定委員会)。2017年9月29日に開かれた会合から、今後の買取価格の検討に向けた議論が始まった。今回の会合では特にバイオマス発電に焦点を当て、現状の課題を踏まえた今後の政策の方針について、具体的な議論がスタートしている。

今回の算定委員会は、2017年4月の改正FIT法の施行以降、初の会合となる。これを踏まえ、今後の議論における大きなテーマとして、2つのポイントを挙げている。1つは、引き続き大きな課題となっている再生可能エネルギーのコスト低減に向けた取り組みの強化だ。

もう1つは、2016年度に「リードタイムの長い電源」として、買取価格を数年先まで提示する方式に変更した、風力、地熱、水力、バイオマスの買取価格の見直しだ。一部の電源については、「来年度・再来年どの既決事項との関係を整理することが必要」としつつ、改めて向こう3年間の買取価格などを検討していく方針である。その1つとして、今回の会合ではバイオマス発電に関する今後の政策について議論が行われた。

急増したバイオマス発電

バイオマス発電について、買取価格の見直しが議論される理由の1つが、FIT認定量が想定を上回るペースで増加している点だ。2017年3月末時点で、バイオマス発電設備のFIT認定量は1200万kWを突破。政府は2030年のベストミックスとして、バイオマス発電設備の導入容量の見通しを602万~728万kWとしていたが、これを既に上回るペースだ認定が進んでいる。仮に現在のFIT認定設備が全て稼働する場合、当初のエネルギーミックスの想定より、買取費用は年間約1兆円の増加が見込まれるという。

バイオマス発電のFIT認定量 出典:調達価格算定委員会

バイオマスのFIT認定量のうち、約9割を占めているのが「一般木質バイオマス・農業残さによる発電」という区分だ。2017年3月時点で、この区分のバイオマス発電の認定量は1147万kWに達している。2030年のベストミックス目標では、この区分の導入量を274万~400万kWと想定していた。一般木質バイオマス・農業残さによるバイオマス発電のうち、2万kW以上の大型案件の買取価格は、2017年10月から買取価格が3円下がり、21円/kWhとなることが決まっているため、変更前の駆け込み申請も増えている。既にベストミックスの3倍以上の認定量となることは確実といえる状況だ。

2017年3月末時点におけるバイオマス発電設備の導入状況 出典:調達価格算定委員会

燃料の海外依存が顕著に

バイオマス発電は、石炭などと混ぜて発電を行う混焼型と、専焼型に分類できる。FIT認定量の大部分を占める一般木質バイオマス・農業残さによる発電設備のうち、出力・件数ベースともに約9割は専焼となっている。さらにこの専焼設備で利用される燃料の内訳を調査したデータでは、パームオイルを含む燃料が件数ベースで54%、出力ベースで38%。パームオイルを含む燃料以外で、PKS(パームヤシ殻)を含むものが件数ベースで33%、出力ベースで45%となった。このように多くの事業が、パームオイルやPKSなどの輸入バイオマスに依存した状況になっていることが分かる。

木材などを利用するバイオマス発電が、他の再生可能エネルギー電源と大きく異なるのは、事業費の約7割を燃料費が占めるという点だ。発電コストを下げていくためには、燃料費の中長期的な低減が必要であり、継続的な発電に当たっては、安定的な燃料の供給が課題となる。
 

バイオマス発電の状況 出典:調達価格算定委員会

会合では、こうした特徴的なコスト構造を持つバイオマス発電に対し「どのようにすれば将来的にFITから自立化できるのか(自立化できないものをFITで支えていくべきなのか)」という問題提起がなされている。加えて、国内材の利活用を含め、燃料安定供給の持続可能性をいかに確保していくか、足元でFIT認定が急増する一方、国際水準と比較して高い買取価格が設定されている状況において、どのように国民負担を抑制していくかという複数の観点から、向こう3年間の買取価格の設定を見直す方針が示されている。

既にバイオマス発電の2018~2019年度の買取価格は決まっている。しかし、今後の議論の状況によっては、これらの既決事項についても変更される可能性が出てきそうだ。