電気とガスを使い分ける新型空調「スマートマルチ」、販売が本格化

長町基,スマートジャパン

2017年04月28日

東京ガスなど都市ガス3社と空調メーカーが共同開発した、ガス空調と電気空調を組み合わせるハイブリッド空調システム「スマートマルチ」の販売が2017年度から本格化する。電気とガスの使用比率を最適に使い分けることで、省エネを図れるのが特徴の製品だ。既に販売しているパナソニックに加え、ヤンマーエネルギーシステム、ダイキン工業、アイシン精機を加えた4社の製造販売体制が整う。

東京ガスと大阪ガス、東邦ガスは、ガスが動力源の空調機(GHP)と電気が動力源の空調機(EHP)を組み合わせたハイブリッド空調システム「スマートマルチ」を、アイシン精機とダイキン工業と共同で開発した。2017年4月からヤンマーエネルギーシステム、10月からダイキン工業とアイシン精機が販売を開始する。システム容量は冷房定格能力67.4kWで、ダイキン工業の販売価格は税別689万円(室外ユニット価格)。

「スマートマルチ」の外観 出典:ダイキン

2017年4月から始まるガスの小売全面自由化に伴い、企業のエネルギーコストの効率化はますます注目されている。ダイキン工業はこれまでも、ガスと電気を併用したハイブリッド空調システムによるエネルギーコストの抑制を提唱してきた。

しかし、従来のシステムでは、GHPとEHPそれぞれに冷媒配管系統が必要で、GHP用とEHP用の二種類の室内ユニットがフロア内に混在していた。そのため、電気とガスの使用比率の変化によって室内に発生する極端な温度ムラを防ぐ目的で、室内ユニットごとの容量や設置位置を詳細に設計する必要があった。

新製品は、従来は別々だったGHPとEHPの冷媒配管系統と室内ユニットを同一化したことで、通常のビル用マルチエアコンと同じ設備設計が可能になる。これにより、設備設計にかかる工数を削減できるだけでなく、電気とガスの使用比率が変化しても温度ムラが発生しないため、快適性を損なわずにエネルギーコストを削減できる。さらに冷媒配管距離が従来の約70%に短縮され、冷媒配管の材料費の大幅削減にもつながる。

既存のハイブリッド空調と「スマートマルチ」の冷媒配管系統の比較 出典:ダイキン工業

また、新製品は低負荷時の運転に適したEHPと高負荷時の運転に適したGHPの違いを生かし、運転負荷に応じて自動で使い分けて運転効率が向上するハイブリッド運転を行う。電力のピークカットが必要な場合はEHP運転を抑制し、その分をGHP運転で補う。消費電力のピークを抑えることで電気の基本料金を抑制し、年間光熱費を削減する。

加えて、新製品は都市ガス3社が提供する「遠隔制御サービス」と連動させることで、エネルギーの料金メニューや今現在のエネルギー需給状況も考慮した運転が可能だ。これにより、施設ごとに適した空調の運転を、より省エネ、省コストで実現することができる。接続できる室内ユニットは23タイプ126機種から選定できるため、オフィスビルから工場まで、幅広い用途での設置が可能だ。

なお、2016年4月から先行してスマートマルチを販売しているパナソニックも、製品ラインアップを拡充し、2017年4月から販売を開始する。これまでの30馬力のモデルにに加え、新たに35馬力と40馬力のモデルを展開する。