東京・大手町、地下に広がる冷暖房システムが進化

陰山遼将,BUILT

2017年03月22日

東京都千代田区のビジネス街、大手町エリアの地域冷暖房システムを支える新たな地下プラントが完成した。大手町・丸の内・有楽町エリアを中心にエネルギー供給システムを運営する丸の内熱供給が運営するプラントで、大手町パークビルや周辺のビルや設備に冷水や温水を供給することができる。水槽を活用したコージェネレーションシステムを導入するなど、エネルギーの高効率化を図ったのが特徴だ。

東京都千代田区のビジネス街、大手町エリアの地域冷暖房システムを支える新たな地下プラントが2017年1月31日に完成した。三菱地所が所有する「大手町パークビルディング」の地下に完成した「大手町パークビルサブプラント」だ(図1)。大手町・丸の内・有楽町エリアを中心にエネルギー供給システムを運営する丸の内熱供給が運営するプラントで、大手町パークビルや周辺のビルや設備に冷水や温水を供給することができる。2017年2月7日には竣工式が行われた。

図1 「大手町パークビルサブプラント」と大手町エリア内のプラントの位置図(クリックで拡大) 出典:丸の内熱供給

大手町地区には、既に丸の内熱供給が運営するプラントが合計8カ所設置されている。今回完成した、大手町パークビルのサブプラントは同地区内で9カ所目のプラントで、冷水を製造するシステムと、メインプラントから供給される蒸気を使う温水製造システムを持つ。大手町センターにあるメインプラントの他、3つのサブプラントと接続している。合計5つのプラントが連携し、温水や冷水を地域内の複数の建物で効率よく冷暖房に活用できるようにすることで全体のエネルギー効率を高める狙いだ(図2)。

図2 合計5つのプラントが連携することになる(クリックで拡大) 出典:丸の内熱供給

冷熱源機器ではターボ冷凍機を3台、インバーターターボ冷凍機を2台、吸収式冷凍機を1台導入、温熱源機器ではスクリューチラー、水熱源ヒートポンプ、排ガス温水ボイラーを1台ずつと熱交換器を3台導入した。さらにこれらの機器の電力を補助するシステムとして、出力370kW(キロワット)のガスエンジン発電機を導入した(図3~5)。

なお、プラントの建設における設計監理は三菱地所設計、施工・建築工事は竹中工務店、機械設備は新菱冷熱工業、電気設備は東光電気工事、衛生設備は斎久工業が担当した。

図3 ガスエンジン発電機(クリックで拡大)
図4 導入したターボ冷凍機(クリックで拡大)
図5 導入した機器の概要(クリックで拡大) 出典:丸の内熱供給

水槽を活用したコージェネシステムを構築

同プラントの特徴の1つが、ガスエンジン発電機から排出されるインタークーラー排熱と、大手町パークビルと隣接する「大手町タワー・JXビル」の中水排熱をヒートポンプの熱源水として利用できるコージェネレーションシステムを構築し、温水製造の効率を高めている点だ。

しかし、排熱が発生する時間帯と、ビルや施設の実際の温熱需要には時間差がある。そこで、一時的に熱エネルギーを貯蔵しておくための熱源水槽を設けている。これは熱の需要が少ない夏場には、冷熱源用の水槽として活用する(図6)。なお、ガスコージェネレーションシステムおよび中水排熱利用ヒートポンプシステムは、政府の補助金を活用して設置した。

 

図6 排熱利用の仕組み (クリックで拡大) 出典:丸の内熱供給

非常時にも冷水を供給

この他に、事故・災害などが発生して電力供給が遮断された場合にも、大手町パークビルおよび大手門タワー・JXビルの2つの施設内にある非常用発電機で発電した電力を活用し、それぞれのビルへ冷水を供給できるシステムを導入した。この場合には、2台導入したインバーターターボ冷凍機を利用して冷水を製造する仕組みだ。

今回の竣工により、5つのプラントが連携する冷水および熱の供給のインフラネットワークが構築されることになった。丸の内熱供給では、今後も大手町地区全体のエネルギーシステムの強靭化に向け、高効率機器を導入した新プラントをネットワークに繋げることで、継続的にエネルギー効率を向上させていく方針だ。