世界トップ企業が加盟する「RE100」、日本企業が「再エネ100%」を達成するには?

山口岳志 日立コンサルティング エネルギーコンサルティング本部 マネージャー,スマートジャパン

2019年01月18日

1.自社が保有する発電設備による自家消費

前ページの「RE100 CRITERIA」にある複数の再エネ電力の調達手法のうち、最もわかりやすいのは自社で再エネ発電設備を導入する方法だろう。RE100のために大規模な設備投資を行っている代表的な企業として、初期からRE100に参加しているIKEAが挙げられる。IKEAでは2009年以降、風力発電に14億ユーロ、太陽光発電に3億ユーロを投資してきた。これにより自社の建物などに133MWp(メガワットピーク)、75万枚の太陽光パネルを設置し、12カ国で416基、947MWpの風力発電を所有している。2017年は両者合計で2388GWh(ギガワット時)を発電したが、これは同社の使用電力の73%に相当する。
 

2017年の「IKEAサステナビリティレポート」より 出典:「SUSTAINABILITY SUMMARY REPORT FY17」(https://www.ikea.com/ms/sv_SE/pdf/sustainability_report/IKEA_sustainability_summary_report_FY17.pdf

アップルは、2018年4月に全世界の事業運営で消費する電力を再エネ100%にしたと発表した。2017年に新設された新社屋は17MW(メガワット)の屋上太陽光パネル設備や、4MWのバイオガス燃料電池を保有している。他にも製造拠点がある中国に複数の風力・太陽光の発電拠点、データーセンターがある米国各州にも再エネ設備を建設するなど、43カ国にわたるグローバルレベルでRE100を達成してる。

実は、RE100に加盟する152企業(2018年10月1日現在)のうち、マイクロソフトなど10を超える企業が再エネ100%を既に達成しており、「再エネ100%達成」は、アップルが最初の企業というわけではない。しかし、その多くはこれから述べる、他社からの再エネ電力購入と証書利用の比率がまだ大きく、自前の設備で自社の消費電力のほとんどを賄う規模には達していないのが現状だ。アップルの場合、調達した再エネのうち66%が自前設備のものである。

繰り返しになるが、RE100参加企業の当面の目標は、再エネ比率を期限までに100%にすることだ。後述するとおり、この目標を達成する一番の近道はグリーン電力証書などを用いる方法(方法3.)である。しかし、証書を用いて再エネ100%を達成しても、「新規の再エネ投資を創出しない」という理由で環境団体などから批判を受けてしまう場合がある。そのため、欧米のRE100参加企業は、証書を使って再エネ比率100%を達成しても、「自前の再エネ調達比率を高める」という次の段階のチャレンジに進み、またそのチャレンジに高い価値を置いている。ややこしい話だが、RE100を達成した企業の間でも、さらに差別化がおこりつつある。

設備導入における費用感についてだが、経済産業省の調達価格等算定委員会の意見書によれば注1、10kW以上の太陽光発電(自家消費)にかかるシステム費用は25~30万円/kWと考えられているようである。電力消費量の大きい工場などでは、敷地内に設置した太陽光だけで運用を行うことは難しいだろう。その場合は後述する、他社からの再エネ電力購入や、証書の利用を活用していくことになる。仮に消費電力のほとんどを自前の設備による発電で賄える場合でも、設置場所の日照条件、年間の電気代などによって投資回収の条件は変わってくる。

調達価格等算定委員会「平成30年度以降の調達価格等に関する意見(案)」(平成30年2月)(http://www.meti.go.jp/committee/chotatsu_kakaku/pdf/036_02_00.pdf

制度開始から10年になる「再生可能エネルギー固定価格買取制度(FIT)」では、太陽光由来の電力買い取り価格は年々下落しており(2MW未満の産業用では18円/kWh)、一方で電力料金は値上がり傾向にあることから、最近は売電ではなく自家消費することを目的とした太陽光発電設備の導入が進んでいる。さまざまな事業者が自家消費型を対象とした太陽光発電設備のプランを提供している。自家消費を目的とした太陽光発電の設備投資(リース含む)には、国や自治体による助成金も期待できる。また、初期投資の圧縮のために、事業者が建物所有者の屋根を借りて太陽光発電設備を設置する、いわゆる「第三者所有モデル」活用する方法もある。これは次のページで解説する。

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