シュナイダーが考える、持続可能な社会に必要なエネルギーマネジメントとは?

廣町公則,スマートジャパン

2018年11月09日

シュナイダーエレクトリックが提唱する「エコストラクチャー」。そこには、IoTを駆使したエネルギーマネジメントの新しい姿があるという。「イノベーション・サミット・シンガポール2018」で行われた、同社CEO ジャン・パスカル・トリコワ氏のスピーチにその神髄をみる

フランスの重電大手・シュナイダーエレクトリックは2018年9月20~21日、シンガポールのマリーナベイサンズホテル・コンベンションセンターにおいて、同社の最新の取り組みを紹介するイベント「Innovation Summit Singapore(イノベーション・サミット・シンガポール)2018」を開催した。“デジタル革新によるビジネスの可能性” を共通テーマとする国際色豊かなシンポジウムと、各種製品・ソリューションを披露する展示会から成り、世界各国から約2500人の参加者を集めた。

最新製品・ソリューションが披露された展示会場 写真=有馬朋子

シュナイダーエレクトリックは、エネルギーマネジメントとオートメーションのリーディングカンパニーだ。年間売上は2016年実績で約247億ユーロ(約3兆2110億円)、従業員はグループ全体で約15万人を擁する。1836年に創業して以来、電力の効率的活用を推進するグローバルスペシャリストとして、世界100カ国以上で事業を展開してきた。

会長兼CEOのジャン・パスカル・トリコワ氏は、シンポジウムの基調講演で述べている。「シュナイダーエレクトリックのコンセプトは、Life is On(ライフ・イズ・オン)。デジタル革新によって人々の暮らしや社会のスイッチを入れ、豊かさと新たな価値を創造すること」であると。そして、それを可能にするソリューションが「ECOSTRUXURE(エコストラクチャー)」というものだと。──エコストラクチャーとは何なのか? それはビジネスをどう変えていくのか? ジャン・パスカル・トリコワ氏の講演内容を振り返る。

デバイスからソフトまで統合ソリューションで価値創出

シュナイダーエレクトリック会長兼CEO
ジャン・パスカル・トリコワ氏 写真=有馬朋子

エコストラクチャーは、シュナイダーエレクトリックが推進するソリューションの名称。顧客のビジネスの信頼性と安全性、効率性、持続可能性、接続性などにおいて、より高い価値を提供することのできるIoT(Internet of Things)プラットフォームであるという。

トリコワ氏は、まずIoTの意義を次のように話す。「デジタル革新は、将来に向けてのものではなく、いま現在急速に進展しているものです。それを支えるインターネットの第1章は、人と人をつなげるということでした。いまや50億の人々が、インターネットでつながろうとしています。そして第2章がIoT、モノとモノをつなげるということです。人と人の場合よりも桁違いに多くの対象をつなげることになります。そして、インターネットを介して集めたデータはビッグデータとなり、これまでになかった新たな価値を創出するのです」。その可能性を拓くものこそ、エコストラクチャーというわけだ。

具体的には、エコストラクチャーは3つのレイヤーから構成される。第1層は、インターネットにつながる製品群。第2層は、エッジコントロール。第3層は、各種アプリケーション・分析・サービスからなるソフト面だ。エコストラクチャーは、各レイヤーの内容をそれぞれの顧客ニーズに合わせて構築し、パッケージ化した統合ソリューションといっても良い。

エコストラクチャーの基本構造 出典:シュナイダーエレクトリック

「私たちはデジタル革新を推進していますが、“デジタル”が欲しいといってやってくる顧客はいません。顧客が求めているのは、効率性や安全性、より良いパフォーマンスといった“価値”であり、そのためのIoTプラットフォームです」とトリコワ氏。だからこそシュナイダーエレクトリックでは、顧客企業のビジネスを十分に把握した上で提案することに努めているという。

エコストラクチャーのカテゴリーは、ビルディング、工場・プラント、データセンター、電力グリッドなどに区分されているが、これもまた顧客のビジネス分野に合わせて専門性を高めていくためのアプローチだ。

既に同社のソリューションは、20社のオイル・ガス企業、世界10大鉱山のうちの9つ、飲食のトップブランド11メーカー、120カ国の水道事業者、100万棟のビル、世界トップ10全ての電力会社、超大規模クラウド事業者4社中3社のデータセンター、世界トップ10中8社のパッケージマシンビルダーで採用されている。

エコストラクチャーは世界の主要企業に導入されている 出典:シュナイダーエレクトリック

「IoTによって得られたビッグデータを、AIを使って処理していくことで、効率性や信頼性、持続可能性など、さまざまなことが具体的に見えてきます。それに基づいて、未来を予測することも可能となります。コストの削減ポイントも分かってきます。エコストラクチャーはエネルギーマネジメントにとどまらず、顧客の事業全体にアドバイスを与えることにもなるのです」。そう語るトリコワ氏は、アジア太平洋地域におけるエコストラクチャー導入事例についても示した。

例えば、インドネシアの大病院・INDRIATIでは、稼働率100%とエネルギーコストの大幅削減を実現し、患者へのサービス向上にも役立ったとのこと。韓国の工場・HOONGAでは、設備利用率が10%向上し、メンテナンスコストが20%削減された。オーストラリアの鉱山・ROYHILLにおいては、サプライチェーンの効率が20%改善され、採掘量50Mtアップが可能となった。タイのデータセンター・SUPERNAPでは、30%もの運用効率向上がもたらされた。今回、イベント会場となったシンガポールのマリーナベイサンズホテルにおいても、シュナイダーエレクトリックのエコストラクチャーが導入されており、エネルギー効率の向上に寄与しているという。

「イノベーション・サミット・シンガポール2018」の会場となったマリーナベイサンズホテル
写真=有馬朋子
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