スタートアップと協業
ガス各社が相手探しに本腰

2018年08月23日

新事業創出等を目指し、自社にない技術・アイデアを持つ国内外のスタートアップ企業との協業を模索する都市ガス事業者の動きが活発になってきた。大阪ガスは米国のスタートアップ企業に出資。東京ガスは英国で行われたスタートアップ探索イベントに参加した。京葉ガスはスタートアップとの連携を支援するアクセラレーターを活用している。

大阪ガスは7日、今年3月に出資した米カリフォルニア州に拠点を置く2010年設立のスタートアップ企業グローイングエナジーラボと、8月から蓄電池の最適運用に関する家庭用および業務用・産業用分野での共同実証を国内で実施すると発表した。

グローイングエナジーは分散電源等の制御用ソフトウエア開発企業。米国と豪州で、多数の蓄電池で構成する仮想発電所(VPP)を使い、電力系統の需給バランス調整を行うプラットフォームを提供している。

大阪ガスは、日本でも天候等により出力が変動する再生可能エネルギーの普及拡大に伴ってVPPの活用ニーズが高まるほか、再生可能エネルギーの固定価格買取制度の買取期間切れによって太陽光発電設備で発電した電力の自家消費ニーズが高まり蓄電池の活用が広がる可能性があると見て、実証に取り組むことにした。

家庭用の実証は大阪市内にある大阪ガスの実験集合住宅「NEXT21」で行う。太陽光発電の余剰電力を蓄電池にため、電力市場価格が高い時間帯に自家消費するほか、消費電力が少ないなど、余力のある世帯の蓄電池は系統の需給バランス調整に活用する。これらの仕組みとエネファームを融合させたサービス開発も検討する。

業務用・産業用実証は兵庫県西宮市の今津総合グラウンドで実施する。電力消費が増える時間帯には蓄電池から放電してピークカットに役立てるほか、余力のある時間帯には蓄電池を系統の需給バランス調整に生かす。

大阪ガスは4月、シリコンバレーに拠点を置くベンチャーキャピタルが運営するベンチャー投資ファンドに出資。6月には現地に駐在員も派遣し、スタートアップの探索活動を本格化させている。グローイングエナジーは新価値創出を目的とした海外エネルギー関連スタートアップ企業への投資第1号となる。

ロンドンで実施したイベントに東京ガスが参加

東京ガスは日本のエネルギー事業者と欧州のスタートアップとの協業支援プログラム「ジャパン・エナジー・チャレンジ2018」に参加している。電気・ガス料金比較サイトを手掛けるエネチェンジと住友商事100%子会社の共同プログラムで、東京ガス、JXTGエネルギーなど4社が協賛企業として参加している。

同プログラムは1月からウェブサイト等で欧州のスタートアップを募集。応募のあった62社の中から10社を選択した。7月5、6日には、スタートアップとの協業を希望する日本企業6社とスタートアップ10社がプレゼンテーションイベントを英ロンドンで実施。英POWERVAULTと、英Brill Powerを最優秀賞に選んだ。

前者は太陽光発電設備で発電した電力や、需要が少ない時間帯の安い電力を蓄電池に蓄え、電気代を下げる仕組みを開発。後者はオックスフォード大学からスピンアウトした企業で、リチウムイオン電池の寿命を最大60%延ばすマネジメント技術を有する。2社との提携を希望する企業は今後、具体的検討を進める。

エネチェンジの城口洋平会長は7月23日に開いたイベントで同プロジェクトを説明。最優秀賞の2社のほかに、スマートメーターのデータを活用した高齢者見守り、電力を取引するピア・ツー・ピアシステム、ブロックチェーン技術を使い、太陽光の電気を仮想通貨として取引する事業等を手掛けるスタートアップなどを協業候補に選んだと説明。自由化、デジタル化が先行している欧州ではスタートアップ等がさまざまなサービスを生み出している一方、日本では価格競争ばかりが激しく、イノベーションを取り入れる必要があるとして、「欧州のスタートアップと日本企業のニーズはマッチしている」と話した。

京葉ガス、静岡ガスも

中堅各社もアクセラレーターを活用した探索に取り組んでいる。

京葉ガスはアクセラレーターのCreww(クルー)のサービスを活用し、3月からスタートアップの募集を開始。一次選考やプレゼン・ディスカッションなどを終え、これまでにスタートアップ5社を選定した。今後、実証実験に入り、事業化につなげていく方針だ。

クルーのサービスは都市ガス事業者では東京ガス、静岡ガスも利用している。
  静岡ガスは駐車場シェアリングサービス「軒先パーキング」を運営する2009年設立の軒先(東京都)と業務提携。17年12月から「SHIZGASエネリアパーキングpowered by 軒先」を提供している。

(ガスエネルギー新聞8月20日付)

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