再エネ主力電源になれるか
全体コストの低減不可欠

2018年05月31日

再エネ優遇の批判誘発も

だが、ネットワークコストを追加的に負担させることで再エネ発電事業の採算性が悪化し、導入量拡大にブレーキをかける要因になっては本末転倒といえる。課金額は設備の発電容量に応じて決まるため、設備利用率の低い再エネ電源の負担は相対的に重くなるという問題も指摘されている。

そのため、エネ庁は発電側課金導入の影響を緩和する施策を併せて導入する。電源の系統接続時の費用に占める一般負担金(託送料金原価に算入)の上限を見直すことはすでに決めた。これまでは電源種ごとにばらつきがあったが、1kW当たり一律4万1000円になる。太陽光や風力、小水力などの再エネ電源は負担軽減になる。

託送料金負担分をFITの買い取り費用に反映させる措置も今後検討する。FIT電源は売電価格が決まっており、託送料金課金による負担増分を小売事業者に転嫁できないという問題があるためだ。調達価格等算定委員会が何らかの調整措置を検討する方針だ。

(資源エネルギー庁資料)

だが、こうした施策は一歩間違えると、過度の再エネ優遇との批判を誘発する可能性がある。実際、発電側課金の導入が「20年以降できるだけ早い時期」として具体的に決まっていないのに対し、一般負担金の上限見直しは電力広域的運営推進機関での審議等を経て速やかに実施する方針だ。発電側課金の導入が遅れれば、再エネ電源は本来負うべきネットワークコストの負担をなし崩し的に免れかねない。

調達価格等算定委で今後検討される調整措置に対しても、「調達価格が確定済みの電源も調整対象にするなら、調達価格自体もゼロベースで見直すべきだ」(経団連)などとけん制する動きが早くも出ている。エネ庁は難しいさじ加減を迫られそうだ。

安定販売の事業モデル

自然変動電源を安定的に販売する事業モデルの構築も主力電源化に向けた大きな課題だ。FIT電源のインバランスリスクは現在、送電事業者が一手に引き受ける特例措置が設けられているが、買取期間終了後は発電・小売事業者がリスクを自ら負うことになるからだ。また、買取期間中の電源についても、同リスクの一部を発電・小売事業者に負わせる方向での検討が行われている。

エネ庁は19年度から買取期間が終了し始める住宅用太陽光については自家消費を中心とした事業モデル、大規模な太陽光や風力については売電を中心とした事業モデルをそれぞれ検討する方針だ。複数の機器を組み合わせて運用する仮想発電所(VPP)など、蓄エネルギー技術やデジタル技術を活用した新たな仕組みを構築する。蓄電池の価格低減などが課題になる。

一方、再エネ電源の競争力向上につながる要素としては、再エネに付随する非化石価値の証書化がある。ただ、このほど初めて行われた取引では、供出量の0.01%程度しか買い手がつかなかった。非化石価値証書は一義的には、小売事業者がエネルギー供給構造高度化法により課せられた非化石電源比率を達成するための措置だ。再エネ電源の価値向上のためのツールとして活用するには、改善の余地がありそうだ。

こうした点も含めて、再エネ発電事業の将来性には不透明な要素が多いが、低炭素社会への移行のために再エネの大量導入はもはや至上命題といえる。電力システム改革全体と整合が取れるかたちで再エネの主力電源化をいかに実現するか。エネ庁の手腕が問われている。

(ガスエネルギー新聞5月28日付)

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